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茶畑の緑と都市の黒 ― 色彩で語るNORIOの世界

  • polestarforeverlov
  • 2月1日
  • 読了時間: 4分

静岡の茶畑の緑は、生命力を誇示しません。広がっているのに、押しつけない。濃密なのに、騒がしくない。

都市の黒もまた、威圧のための色ではありません。それは「強さ」を見せるためではなく、輪郭を整え、余白を生み、緊張感を静かに保つための黒。

NORIOの色彩設計は、自然と都市のあいだにある 「緊張と調和」 を表現します。色は装飾ではなく、空気感を纏うもの。その前提から、NORIOの“緑”と“黒”は始まります。

1. 茶畑の緑は「主張しない生命」

茶畑の緑は、派手なグリーンではありません。明るさで注意を引くのではなく、深さで心を落ち着かせる緑です。

この緑が伝えるのは、次のような感覚です。

  • 育つ時間の気配(一瞬で完成しない美)

  • 呼吸できる余白(見ている側の心拍を整える)

  • 日常に溶ける強さ(特別すぎないのに、確かに美しい)

NORIOにとって“緑”は、自然を象徴する色であると同時に、静けさを成立させるための温度でもあります。空間に置いたとき、緑は前へ出るのではなく、背景として世界を整える。それが、茶畑の緑の品格です。

2. 都市の黒は「威圧ではなく、姿勢」

黒は、強さの記号として使われがちです。けれど成熟した都市の黒は、見せびらかす黒ではありません。

ビルの影、夜の窓、舗装の深い色。都市の黒は、情報と刺激が過剰な環境の中で、むしろ “静けさを保つための骨格” になります。

NORIOが向き合う黒は、こんな性質を持ちます。

  • 輪郭を明確にする(形を曖昧にしない)

  • 余白を生む(語りすぎないための背景)

  • 静かな緊張を残す(だらしなくならない空気)

つまり黒は、強さを誇示するためではなく、美が崩れないための姿勢としてそこにある。

3. 緑と黒のあいだに生まれる「緊張と調和」

茶畑の緑は、静けさの中にある生命。都市の黒は、静けさの中にある緊張。

この二つは正反対に見えて、実は近い場所に立っています。どちらも「過剰」を嫌い、「余白」に価値を置き、「時間」で信頼をつくる。

NORIOの色彩は、ここに焦点を当てます。

  • 緑があることで、黒は冷たくなりすぎない

  • 黒があることで、緑は甘くなりすぎない

  • 相反するものが並ぶことで、空気が研ぎ澄まされる

それは、調和しながらも馴れ合わない関係。この“緊張”があるからこそ、世界観は薄まらず、静けさが濃くなるのです。

4. 色は「装飾」ではなく「空気感」

NORIOにおいて色は、目を惹くための演出ではありません。空気感を設計するための言語です。

たとえば同じ黒でも、ツヤのある黒は「主張」になりやすく、マットな黒は「余白」になりやすい。

同じ緑でも、鮮やかすぎる緑は「記号」になりやすく、深みのある緑は「気配」になりやすい。

NORIOが目指すのは、色を“説明”にしないこと。視線を奪うのではなく、視線が落ち着く場所をつくること。色彩設計とは、感情の騒がしさを下げる設計でもあります。

5. デザインへの落とし込み:緑は“呼吸”、黒は“骨格”

色を世界観に変えるには、使い方にルールが必要です。NORIOの文脈では、次のような考え方が自然です。

  • 黒をベースにして、緑は“少量で効かせる”黒が空間や情報の骨格をつくり、緑が呼吸のポイントになる。

  • 緑は「面」ではなく「気配」として扱う大きく塗るより、縁・内側・差し色・影のように置く。

  • 色より先に“質感”を決めるマット、紙の繊維、織り、金属の鈍い反射。色は質感の上で初めて“品”になる。

もし具体的にパレット化するなら、例えばこんな方向性が似合います(あくまでイメージ例):

  • 茶畑の深緑:落ち着いた深さのグリーン

  • 霞の淡緑:余白としての薄いグリーン〜グレー

  • 都市の黒:漆黒ではなく、わずかに空気を含むチャコール

  • 温度のあるニュートラル:生成り、石、霧のような中間色

大切なのは、色数を増やすことではなく、少ない色で空気を作れるかということです。

終わりに:色は、世界観の「沈黙」になる

茶畑の緑と都市の黒。それは自然と都市、静けさと緊張、土地と世界のあいだにある“呼吸”の色です。

NORIOが描く色彩は、説明を増やすためではなく、語らなくても伝わる沈黙を増やすためにあります。装飾ではなく、空気感を纏う色。

この緑と黒が出会う場所に、NORIOの世界は立ち上がります。

 
 
 

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