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ブランド考察

  • polestarforeverlov
  • 3月21日
  • 読了時間: 4分

ラコステ

ラコステの本質は、「スポーツを品格に変える」ことです。1933年にルネ・ラコステがアンドレ・ジリエと創業し、軽く動きやすいポロとワニの記号で始まったブランドで、公式も現在のラコステを「スポーツとファッションの交差点」にある世代横断ブランドとして位置づけています。現在の公式サイトでも、ポロやテニスだけでなく、シューズ、バッグ、香水、ゴルフ、さらにランウェイまで展開しているので、もはや単なるスポーツブランドではなく、「動けるエレガンス」のブランドだと読むのが自然です。強みは、清潔感・節度・軽い上質感を一瞬で伝えられること。弱みは、安心感が強すぎると“無難”にも見えやすいことですが、そのためにファッション性の注入を続けているのが上手いです。


VAN

VANのすごさは、服を売ったというより「服の文法」を売ったことです。公式は1948年誕生とし、1950年代以降にアメリカ文化を取り入れ、60年代にアイビールックやみゆき族、T.P.O.という考え方まで含めて日本のメンズファッション文化を築いたと説明しています。学術ケースでも、石津商店からVANヂャケットへの展開と、アイビーを日本に紹介した歴史が整理されています。さらに「TAKE IVY」やその後のキャンペーンは、服そのものよりも“良きアメリカの生活像”を輸入した点に価値がありました。だからVANは、アメリカを売ったブランドというより、日本人が編集した理想のアメリカを売ったブランドです。強みは文化的権威の深さで、弱みは放っておくと懐古趣味に閉じやすいこと。ただ、公式自身が「変化し進化していくトラッド」「ライフスタイルを発信する」としているので、本来は更新され続けるべきブランドです。


カステルバジャック

この4ブランドの中で、いちばん“デザイナー本人”と“現在の商業ブランド”を分けて読むべきなのがカステルバジャックです。デザイナー本人の公式ビオグラフィーでは、1968年のKo & Co、1978年のメゾン設立、アートとファッションの横断、コラボレーション、ポップアート的な記号性、展覧会活動などが強く打ち出され、本人は2016年にメゾンを離れています。一方、日本の公式通販は、メンズ/レディース、バッグ、財布、シューズ、ギフト、ゴルフを前面に出しています。つまり日本でのカステルバジャックは、パリの前衛性をそのまま売るブランドというより、色・記号・遊びを日常品に落とし込むライフスタイルブランドとして機能しているように見えます。強みは一目で“その人らしさ”が立つこと。弱みは、編集を誤ると芸術性より雑多さが勝ってしまうことです。


コーチ

コーチの本質は、「レザーの工芸」を「都市生活の欲望」に変えることです。公式は1941年創業の“Original American House of Leather”と自ら説明し、ニューヨークとStuart Veversを軸に、ブランド/コミュニティ/プラットフォームとして自分らしさを後押しする立場を掲げています。TapestryもCoachを、ヘリテージのクラフトマンシップとNew York styleを基盤にした“complete lifestyle brand”と説明しています。日本公式でもTabby、New York、RogueのようなアイコンバッグとSpring 2026のランウェイを前面に出していて、主力バッグはおおむね8万〜14万円台です。なのでCoachは、排他的なラグジュアリーというより「手が届く欲望」を極めて上手に設計するブランドだと言えます。2025年にTapestryが掲載したCNBC記事でも、戦略的なリブランディングや商品刷新で若い客層の取り込みが進んだとされており、かつての“露出過多で安く見える危険”を、いまはプロダクトとカルチャーの両面から巻き返している段階です。

総括すると、ラコステは品のあるスポーツ、VANは教養としてのトラッド、カステルバジャックは遊びとしての芸術、コーチは都市型レザーの欲望です。ブランドづくりの学びに置き換えると、ラコステからは記号の強さ、VANからは生活文法、カステルバジャックからは作者性、コーチからは主力商品の商業設計が学べます。4ブランドは近く見えて、実は「何で記憶されたいか」がまったく違う。その違いを見抜くと、それぞれの強さと限界がかなりはっきり見えてきます。

 
 
 

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